日本という国名が世界に広まって、なぜJAPANになったのか、という仮説。中学校で英語を習い始める前から、何となく日本は英語でジャパンなんだ!ということは理解していた。その頃は、ゲームや漫画でも『黄金の国ジパング』とか、何となくそれっぽい言葉があったから、ジパングだからJAPANなんだな、と考えていた。
大人になってみると、方言が何故発生するのか、とか、現代ほど情報を伝える技術、特に音に関して、非常に限られた方法しかなかったこと、とかを考えてみると、例えば日本からヨーロッパの間にある国々の人たちが「どう言っているか、どのように聴こえるか」という点が大事になってくる気がする。
まず、「日本」という名称について、中国がある時代の「日本」を指して日本と呼び始めたのか、それとも当時の「日本」が自らを「日本」と呼び始めたのか。これについては、歴史に疎い僕は最近まで全く知らなかったのだが、最近ある学説を目にした。
その学説では天武天皇が初めて天皇という称号を用いたこと、その理由として天武天皇が道教への造詣が深かったことが挙げられていた。道教においては、天皇が治める場所は”ひのもと”とされていたそうで、天武天皇が天皇という称号を用いるにあたって、天皇がいる以上この国は当然日の本である、という考えから、国名を「日本」にしたということのようだ。
当時の中国がこの「日本」とう呼称についてどのような反応を示したのかも興味深いところだが、とりあえず仮説の出発点としては、①日本という称号は日本が自ら用い始めたこと、②時代としては天武天皇の生きた7世紀後半ころだったこと、の2つとなる。
「日本」という漢字が中国と当時の「日本」で同じものだった、とすると、中国では「日本」のことを何と呼んでいたのだろうか。ここもあくまで仮説でしかなく、本当は古代中国語や中近代中国語のうち、当時の公用語または一番広く使われていたものの音声の変遷まできっちり調べないといけないのだけど、今の段階では現代の中国語読みに非常に近い読み方だったと仮定したいと思う。
そうすると、中国語で『日本』は『Ri4ben3』となる。r音は音声上はこもった音のア行に近いので、Ri4ben3はイーベンと聴こえると思う。中国語を勉強したことがある人であればイヤイヤ違うでしょう、と思うかもしれませんが、イーベンだったりジーベンだったり、人によってかなり聴こえ方が違うし、発話者によっても結構音の違いが出るものです。
ここから先は伝言ゲームの世界になります。日本を知らない中国の近隣の人が『日本』について中国から情報を聴き、それが西に向かって口頭またはどこかの国の人が書記した表記が伝言ゲームで伝わっていくととどうなるか。
アラビア語では、現在も日本は「اليابان」でal ya:ba:n(アリヤベーン)というそうです。アルファベットで無理やり書くとしたら、Yabenとなりそうです。この時点で、イーベン⇒ヤーベンです。ちょっと無理があるかもしれませんが、Y音はヤ行(であることが多い)なので、ア行との変換が起きやすいように思います。中国とアラビア半島にはかなりの距離があるので、ここでの疑問点と飛躍は、今後その中間の国の言語を知ることで、もう少し埋まってくるかもしれません。
次に、アラビアからヨーロッパ。ヨーロッパ言語は、YとJとHの発音と表記が入れ替わりやすい言語関係が多いイメージがあります。現在ヤパーニッシュだったり、ハポネだったりと、これらの子音は相互に変化しやすく、聴き間違いも起きやすい言葉になると思います。
PとBも、発生方法から分かる通り、かなり近しい音です。極めつけは、少なくとも現代アラビア語にはP音がないらしいということです。つまり、アラビアに接するヨーロッパ人は、『この人たちPとBの区別しないけど、さっき言ったこの言葉、PとB』どっちだろう、という混乱が起きやすい気がします。
また、母音字もものによっては音が近しく、人によっては正しく聴き分けられず混同してしまうケースもあると思います。Yabenという発音または文字列は、ヨーロッパに伝わると次のような変化を起こして発音または文字列として認識される可能性が出てきます。
Riben ⇒ Yaben
(候補)
- Y●b●n
- Y●p●n
- J●b●n
- J●p●n
- H●b●n
- H●p●n
●の中に入る母音は一定の確率に従って伝播すると考えると、かなり高い確率でJapanが出てくるのではないだろうか、というのが、現段階での僕の仮説です。
固有名詞は見つけやすいと思うのですが、基本的な語彙の中に、それぞれの言葉のルーツの仮説を見つけていけたらいいなぁと思っています。
